日本海の拡大と伊豆弧の衝突 神奈川の大地の生い立ち

日本海の拡大と伊豆弧の衝突 ―神奈川の大地の生い立ち (有隣新書75)

日本海の拡大と伊豆弧の衝突 ―神奈川の大地の生い立ち (有隣新書75)

<2011年3月11日の東日本大震災以来、多くの研究者ばかりでなく、一般の人たちの間でも災害に関する現象が話題に上るようになりました。地球科学現象の多くはそれが起きたときには天変地異にも相当するものです。日本海が分裂し、拡大したときには大地は裂け、マグマが海底に噴き出すなど、その現象は、人類が存在していれば大地動乱であったに違いありません。
本書は1億年にわたって神奈川の大地で起こってきた現象を7人の研究者に語ってもらったものですが、それこそ天変地異そのものであったと思われます>(本書より)

私は横浜生まれの横浜育ちで、祖父代から横浜ですので「ハマっ子」です。
大学を卒業して以来、大学病院・留学期間以外はおもに神奈川県内(横浜、川崎、大和、伊勢原)の病院勤務をしてきました。開業してからも川崎市内と横浜市北部の患者さんが多く来院していただいています。
地元・神奈川県への愛着は還暦を迎えてからさらに強くなっています。
また高校生時代から地球科学にはとても興味がありました。1970年代初めに竹内均先生の「地球の歴史」を読んで、大陸分裂説を初めて知って以来、理学部に進むことも真剣に考えていた時期もありました。
神奈川県の大地と山々、とくに大山・丹沢・箱根は小学生の頃からいつも視野に入っていました。そしてドライブで箱根の大観山、湯河原の十国峠などからみる雄大な富士山・駿河湾伊豆半島相模湾の眺めはいつみても見飽きません。
いま住んでいる横浜の郊外からも、県内の山々から連なる秩父山系、高尾、小仏、御坂山地、さらには南アルプス北岳などを眺望できることを散歩の楽しみにしています。
このような神奈川の大地の生い立ちを知ることのできる新書を立ち読みで見つけることができました。それが本書『日本海の拡大と伊豆弧の衝突 神奈川の大地の生い立ち』です。出版社は横浜伊勢佐木町に本店のある有隣堂書店、実家からよく通っていた本屋さんです。
2011年3月11日の東日本大震災以来、ニュースでもプレート、トラフ、活断層といった言葉を多く耳にするようになりました。地球科学の最先端の正確な情報と、日本列島の生い立ち(約5億年)を知るにもいい本だと思います。

<陸上の火山活動と台地・丘陵の形成(200万年前〜現在)
伊豆半島の北部では、80~70万年前から宇佐美火山、熱海火山などの火山活動が始まり、40万年前頃からは湯河原火山や箱根火山が活動を始めました。大磯丘陵から相模台地、多摩丘陵下末吉台地三浦半島の丘陵地などの表面をおおている赤茶色のいわゆる赤土が関東ローム層です。この関東ローム層は、箱根火山や富士火山の火山活動によって噴出した火山灰が堆積、風化してできたものです。(中略)東部の多摩丘陵相模原台地のような、起伏が緩やかで平坦な地形の形成には、相模川などの河川による浸食・堆積作用と箱根・富士火山の火山活動が重要な役割を果たしています。
神奈川県域は4つのプレート(太平洋プレート、フィリピン海プレートユーラシアプレート、北アメリカプレート)が複雑に重なり合う、地殻変動の激しい場所に位置しています。>(本書より)